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ROUND 3芥川賞選考会

荻原浩 『愛しの座敷わらし』

荻原浩『愛しの座敷わらし』(朝日新聞出版) 3回目 当落予想
◎=本命 ○=対抗 ▲=大穴
作品評価
A〜D
大森 豊崎 大森 豊崎
B B+

あらすじはコチラ

豊崎荻原さん何回目でしたっけ?
大森三回目ですね。『四度目の氷河期』以来。やっぱり『明日の記憶』であげておけばよかったのに。
豊崎でもね、ケモノバカの見地から言わせてもらうと、座敷わらしはかなりかわいいですよ。私にとっては人間以外はみなケモノですから。座敷わらしが「ふぁ」って小さな声をあげたり、お母さんの背中におぶさって寝ちゃうところとか、もっ、異様なまでにかわいいっ。そのかわいさに免じてのB評価と思っていただきたい!
大森『押入れのちよ』に続いて今度は座敷わらし。しかしこういう家族小説も、最近あまりに多くてだんだん読むのに疲れてきたんですが。
豊崎よくある話だけど、よく出来てると思いますよ。ギクシャクした関係の家族が田舎に行って――って枠組みには確かに飽き飽きだけど、その枠組みの中で書かれた小説の中ではお上手な作品になってますから。
大森同じ家族小説なら『平成大家族』とどっちがいいですか。
豊崎えー、何その意地の悪い質問は(笑)。そりゃ『平成大家族』のほうがいいけど。文章だって中島京子のほうが上だし。あと荻原さんのこの小説は、キャラクターも物語も先が読めちゃうとこが弱いんですよね。でもね、世の中には驚きたくない人が大勢いるわけですよ。そういう人は思ったとおりに物語が進んでいくのがうれしくてしょうがないんですよ。そういう意味で直木賞向きでしょ。前回の『私の男』が異例だっただけで。
大森イヤだったのが小見出し。なんでこんなことするんだろう。新聞連載だから?
豊崎最初小見出しって気が付かなくて、強調されてる文章なんだと思ってました。「スーパーはどこ?」って、無理矢理田舎に連れてこられたお母さんが心の中心で叫んでいるのかと。
大森座敷わらしの来歴を説明するところも、ここまで書かなくてもよかったんじゃないかなあ。わざわざおばあさんに聞きにいったり。
豊崎あと、オチがさー、こうなるんだろうなと思ったそのまんまで、逆に仰天しちゃったんですけど。「こんなベタなオチでいいんですかー」って。でも、さっきの私の理論でいうと、いいんでしょうね、このオチで。世の中の大半の人は願ったとおりの展開で、ホロっとできて、しかも後味のいい話が好きなんでしょうから。
大森まあ、伏線はずっと張ってあるし、きれいな終わりではある。
豊崎あとね、座敷わらしが出てきたせいで一家が飼ってる犬の影が薄くなったのは、全日本登場犬猫監査委員の私としてはイエローカードもんですね。「じゃ、犬いらないじゃん」とも思ったけど、座敷わらしが犬を怖がるシチュエーションがほしかったからかな。そういうふうに“装置”としてケモノを扱うのは好かんなあ。でも、最後の方で座敷わらしが犬と一緒に寝るシーンがあって、そこはかなり萌えだったからいいか。許してやるか。
大森僕は本命つけましたけど、読まなくて考えても、今回は荻原さんしかいないんじゃないかと思ったし、読んでも変わらなかった。
豊崎いやいやいやいや、私は7月15日に大森さんが、「なんだよー、今回も何も考えずに文藝春秋に○つけとけばよかったのかよー」って嘆いてる姿が目に浮かぶようですよ。
大森いや何も考えずに、荻原さんですって。今年は新潮三賞の受賞作が5作とも新潮社の作品だったから、こっちは逆に文春ではかたまらない。
豊崎えーっ、「芥川賞・直木賞は、三島賞・山本賞なんて見てない」って、前に大森さん言ってなかったけ? 大森さん、フラッシュメモリー差し込んでくるの忘れちゃったんじゃないのー。

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