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ROUND 3芥川賞選考会

和田竜『のぼうの城』

和田竜『のぼうの城』(小学館)初 当落予想
◎=本命 ○=対抗 ▲=大穴
作品評価
A〜D
大森 豊崎 大森 豊崎
B- B

あらすじはコチラ

豊崎『千両花嫁』が直木賞の水準に達してないなら、『のぼうの城』はどうなんだって話ですよ。これ、もろキャラクター小説でしょ。だから売れてるんですよね。帯に17万部って書いてあって感服つかまつり候。
大森電車の中でサラリーマンが読んでましたよ。第二作も新潮社からすばやく出たし。
豊崎谷原章介が帯で「はっきり言って今年のナンバーワン!」だって(失笑)。おまえ年間一体何冊読めてんだよ!
大森北上次郎さんが推薦作に挙げたんで、2月に《SIGHT》誌の書評対談用に読んだんだけど、なんでこんなに売れてるのかよくわからない。
豊崎やっぱり「王様のブランチ」効果なの? まあ、でも映画で見るぶんにはいいかもしれませんね。誰がやるのかな、のぼう様役は。
大森ピエール瀧がいいんじゃない?
豊崎あはははっ、うまい。大森さん、グッジョブ! でも、その配役じゃ、客が呼べませんねー。ていうか、のぼう様のルックスをリアルに押さえたら、客は呼べない。やっぱり嘘でもかっこいい俳優を呼んでこないと。ところで、この人って40歳なんでしょ。何で、あの時代にその年まで結婚してなかったんだろ。京大出身の大森さん、これって史実なの? だとしたら、ホモだったのかなあ。この小説によれば晩年は坊主になったみたいだし。ホモなら、萌えだなあ。
大森この忍城(おしじょう)の話は、風野真知雄が書いてますね。『水の城 いまだ落城せず』。主な出来事は史実のとおりなんじゃないですか。
豊崎私ほんとに時代小説って読まないから、こういう題材をこういう書き方で小説にした場合、ジャンル・プロパーが納得するのかが全くわからないんですけど。
大森北上次郎さんは絶賛してました。
豊崎そうなの。じゃあ無問題ってことですか。
大森まあ、時代小説もいろいろ流派があるから。文句言う人もいそうだけど。
豊崎聞きたいと思ったのは、のぼう様がしゃべるとき、公式時はそれっぽいしゃべり方するけど、ふだんは「ううん」とか「やだ」とか言うじゃないですか。あれはどうなんでしょ。
大森ダメだって言う人はいっぱいいるでしょ。こんなの漫画だと言う人がいてもおかしくない。
豊崎やっぱし。でも、ツーツーツラツラ読める面白い話にはなってますよね。売れてるのはわかるような気がします。
大森でも、すごい戦略とか、すごい攻防戦があるわけじゃなくて、敵が自滅していってたまたまうまくいきましたっていうのがちょっとね。一番助かったところもすごいアイデアがあるのかなと思ったら、人徳でしたっていう。
豊崎でも、史実なんでしょ、これ。だったら、仕方ないじゃん
大森まあ外枠はそうでも、中はいくらでも書けるじゃないですか。城戸賞を受賞した脚本のノベライズだっていうから、酒見賢一の『墨攻』的なものを期待してたのに……。
豊崎のぼう様が無能で敵が勝手に自滅してくってパターンは悪くないと思いますけど。だって、愛されキャラだから城攻めに対抗できたって視点で書かれた小説なんだし。
大森一見無能だけど、何かすごい部分、ていうのがもうちょっと出てきてほしいね。
豊崎そーかなー。異能を匂わせるほどの無能ってとこが「すごい」部分なんだから、そこはいいんじゃないの? 第一、そういうキャラクタライゼーションによって読者から愛されてるんでしょうし。
大森ああ、読者的にはね。
豊崎そりゃまあ、直木賞的にどうかっていったら小学館だし、ムリでしょう。私、全く知らなかったし、この本のこと。
大森え、知らなかったの?
豊崎うん。書店で平積みになってるのは視野の端に入ってたんだけど、わたしのことは呼んでなかったから。時代小説の上に、このタイトルで、この装幀で、この帯(笑)。わたしに必要な小説ではまぁーったくありません。しかし、一体なんで候補にしたんだろな、この程度のエンタメを。……あ、文藝春秋がもう次作頼んでるんじゃないですか、この人に。で、今回は顔見世興行のつもりで、自社本の時にきっと受賞させるつもりなんだっ。きったねーなー。
大森そうなんですか。ぼくは全然知りませんけど。
豊崎なんだよ、オレの妄想かよ。ちぇ。

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