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ROUND3 直木賞選考会

新野剛志『あぽやん』

新野剛志『あぽやん』(文藝春秋) 初 当落予想
◎=本命 ○=対抗 ▲=大穴
作品評価
A〜D
大森 豊崎 大森 豊崎
B- B

あらすじはコチラ

豊崎今回初ノミネートの新野さんに行きましょうか。この人、『八月のマルクス』で乱歩賞とった人ですよね。
大森最近はミステリーを離れて、いい話方面に行ってます。『あぽやん』、たいへん評判はよくて、文春としては順当に直木賞候補ということでしょうね。ぼくはどうでもいいですけど。
豊崎あれれー。大森さん、もう自分が打ち立てた直木賞攻略理論を捨てちゃうんですかー。「出来不出来には目をつぶって、ひたすら文藝春秋の本に◎」なんでしょ? ほら、私はだからちゃんと文藝春秋で◎○をまとめましたよ。
大森いやあ、今回はないでしょう。『あぽやん』はないし、『千両花嫁』もねえ。
豊崎あ、これで確信できちゃった。今回も当たるかもしんない。大森さんが「絶対ない」っていうと逆に「ある」もん。特に文藝春秋社関係がらみの「ない」は「ある」。第一、これ、大変いいお話じゃないですか。私は年に1回くらい海外旅行に行くんで、「へえ、成田空港の裏側ではこんなことがあったりするんだー」って思いました、マル。
大森これがとるなら、その前に桂望美『県庁の星』とかにやっとけって話じゃないですか。あれとほぼ同じ話でしょ。
豊崎『県庁の星』よりは、文章がマシだと思うけどなあ。
大森それはそうかも。新野さんは、デビュー作のときからそうだけど、ちょっと頼りない感じの男の一人称で書くと妙なリアリティがある。
豊崎これは連作短編集なんですけど、毎回ちゃんと山場が用意されてて、いろんなお客さんや同僚たちとの関わりの中で、慶太というツーリスト会社の男子が少しずつ成長していくって話になってます。
大森中間小説誌連載は、そういう話が多いですからね。
豊崎ほんとだ、これも《別冊文藝春秋》に連載されてたんですね。
大森最近はこういう連作がエンターテインメント小説のいちばん主流かもしれない。
豊崎いやぁ〜、面白かったですよ、読んでるときは。あっという間に読み終えちゃって。で、この小説を次に思い出すのは海外旅行で成田空港に行ったときでしょうね。ツアー会社のカウンターに並んで、「あれぇ? そういえばなんかそういう小説なかったけー」って、そんな感じ。
大森年に一回、思い出してもらえるお得な小説。

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