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ROUND 2芥川賞選考会

津村記久子「婚礼、葬礼、その他」

津村記久子「婚礼、葬礼、その他」(文學界3月号) 当落予想
◎=本命 ○=対抗 ▲=大穴
作品評価
A〜D
大森 豊崎 大森 豊崎
B B-

あらすじはコチラ

豊崎そして津村さん。このタイトル、実験小説っぽくないですか? ところが、そう構えて読むと、ほんとに「婚礼、葬礼、その他」の話なんでびっくりしちゃった(笑)。三谷幸喜が書くシチュエーションコメディみたいな小説なんですよ。映画のほうじゃなく、舞台のほうの。ひととエピソードの出入りのさせ方が、すごく三谷っぽい。
大森もうちょっと暴走させるとよかったのにね。友だちの結婚式場から葬礼会場に行った主人公のヨシノが、トイレにこもって、自分が幹事をやるはずだった二次会の人間と連絡をとりあうシーンとか、リアリティを無視して完全にコメディになってるんだけど、寸止めなんですよ。そこまでやるんだったら、いっそ、トイレの中の会話と外の会話が混じってごちゃごちゃになるとか……。
豊崎たしかにそうですね。でも、このひとってユーモアのセンスはかなりあると思いますよ。葬礼会場で数珠買おうとして「いくらですか?」って聞いたら五千円もして〈意識が遠のき、足元がふらついたヨシノは壁に手をついた。五千円。あの丸いのがつながってるのが、そう。ああそう〉とか。こういう文章の並べ方って、天性のリズム感のなせるわざで、わたしは悪くないなあと思います。
大森微妙に惜しいんですよ。たとえば、ヨシノは朝から食べる機会を逸してて、おなかがすいてるってことをずーっとひっぱるじゃない、なのに、解消されるときのカタルシスがあんまり大きくない。女の子が見かねておにぎりくれましたとかって、ふつうでしょ? そのへんをもうちょっとがんばってドカーンって笑わせてくれないと。まあ、そういうところも含めて三谷幸喜っぽいんだけど。
豊崎それやっちゃうと、ほんとに直木賞サイドに行っちゃうから。芥川賞のためにドカーンはさせなかったんじゃないですか?
大森苦しい解釈ですね(笑)。でも、絲山秋子が『沖で待つ』でとったことを思うと、これが芥川賞とってもおかしくない、うまさは同じくらいかな。
豊崎でしょ? うまいんですよ、このひとは。小説を買って読んでくれる30代女子のハートのつかみ方がお上手。
大森最後ラーメンでしめるとこととか完璧。
豊崎そのとおり! 今回ラストに不満が残る作品が多かったんですけど。大学時代のサークルの先輩・ホンダさんの〈ヨシノさんほらこれモヤシとニラ入れ放題だってさ、しかもすっごいコチュジャンが絡んでるよやったねヨシノさん〉っていう台詞が、もう絶妙で。
大森映画にもすぐなりそう。
豊崎芥川賞じゃなくても、いずれなにかをとるひとでしょう、津村さんは。

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