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ROUND 2芥川賞選考会
羽田圭介「走ル」
| 羽田圭介「走ル」(文藝・春) | 当落予想 ◎=本命 ○=対抗 ▲=大穴 |
作品評価 A〜D |
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|---|---|---|---|---|
| 大森 | 豊崎 | 大森 | 豊崎 | |
| … | … | B- | B- | |
豊崎今回は男子の候補が多いなあ。女性上位の昨今、珍しいんじゃないですか? で、F1のサーキットに自転車で迷いこんでしまった羽田くんはいちばん若くて、22歳。
大森今春、大学を卒業して就職しましたってエッセイに書いてましたね。
豊崎えらーい、就職したんだ。感心な若者ですねえ。
大森だから就職祝いかな。この候補入りは。
豊崎あのね、さわやかなお話ではあると思うんですよ。もっ、ほんとに47歳アラフィフ女のこころが洗われましたから。ちゃんと芥川賞仕様になってますしね。たとえば、ここんとこ。〈この自転車には余計な物が一切ついていないということに気づいた。買い物カゴはもちろんここと、泥除けのフェンダーも、スタンドだってついていない。フレームとホイールも細く、よって空気抵抗も少なく抑えられる。地面からの僅かななショックでさえ吸収しないから身体に負担のかかる分、乗り手の脚力を効率良く推進力に変えてくれるマシン〉。つまり、大人になっていろんな余分ななものがついてくると、部活のあとに東京から青森まで自転車で行ってしまうみたいなことはできないんだってことですよね。青春という時期の定義をですね、こうやってちゃんと親切に言語化してくれてるわけですよ、22歳の若者が75歳のシンちゃんに。気配りできてる小説じゃないですか。羽田くんが主人公とそんなに年が離れてないから、リアルな若い男子がよく描写できてますし。でも、なんでこれが芥川賞候補なの?
大森だから就職祝い。まあ、ほかに若い子がいないし。
豊崎えー、それだけなの? 大森さん、もっとなんか言ってあげてくださいよ、若者に。
大森べつにいいんじゃないの? しゃべることもなんもないでしょう。
豊崎また、それかよ(苦笑)。そんなんばっかだよ、今回は!
大森八王子から四谷の高校まで自転車で走ってきて、まだ走りたりないので青森まで走りました、帰りは疲れたので電車にしました、終わり。(編集者に向かって)あらすじ書きやすくてよかったですね(笑)、「マイクロバス」とかたいへんそうだし。
豊崎物語の展開が早いのは美点なのでは? 四の五の言わず自転車にすぐ乗って走り出すっていう潔さ。それが、若さ。
大森一泊するところまではいいと思うんですよ。いきなり走り出して宇都宮まで行っちゃうのは。
豊崎そうそう。そこで止まらず青森まで走って行っちゃうんだよね……。わたしもね、もういいから、早く家に帰ってくれないかなと思いながら読んでました。
大森ほら、無理にしゃべるとロクなことにならないでしょ(笑)。よかったのは携帯メールの文面。あと、彼女に対して、すぐバレるウソを平気でつきまくる黒さね。さわやかそうに見えて、意外と人非人です。だまされてはいけません。
