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ROUND 5 直木賞選考会 後編

三田完『俳風三麗花』

三田完『俳風三麗花』(文藝春秋) 当落予想
◎=本命 ○=対抗 ▲=大穴
作品評価
A〜D
大森 豊崎 大森 豊崎
B- B

あらすじはコチラ

大森最後は、候補になるまで誰も知らなかった本。こんな本が出てたとは。

豊崎同じようにこれも極悪非道な候補の仕方だと思ってたんですよ、最初は。「オール讀物」出身作家でずっと文藝春秋から本を出してる、いわば生え抜きでしょ。そうまでして自社本を主張するのかと思ってたんですけど、これが意外と面白く読めちゃったんですよ、『俳風三麗花』

大森これは文春社内でも、戦略で上がってきた本じゃないからね。全員で候補作を回し読みして投票したら、意外にも、こんな少部数・高定価の地味な本が、白石一文や貫井徳郎に勝ってしまったという。

豊崎そりゃ、そのあたりの作家には勝てるでしょう、これなら。わたしはてっきり「オール讀物新人賞でデビュー(2000年「櫻川イワンの恋」)した生え抜きなのに話題にもならない、書評にも取り上げてもらえない人だから、こうやって候補に挙げて知名度だけでも上げようって戦略かと思ってんです。そしたら句会の形式やそこに出てくる俳句もちゃんと物語にいかされてて、視点もそれぞれ個性的な3人の女の子に置いたりと、読ませる工夫をちゃんとしてる連作短篇集になってて驚いちゃった。

大森こっちはこっちで長澤まさみ主演で、とかね(笑)。あとは宮崎あおい。沢尻エリカ……の役はいないから、蒼井優か。

豊崎蒼井優はいいですね、ぜひ入れてほしい!

大森石原さとみでもいいです。こっちはドラマじゃなくて映画かな。句会映画でね。俳句って若い人にも結構人気あるから、いいかもしれない。

豊崎暮愁先生は誰にやってもらおう。かっこいい40代がいいな。

大森もうちょっと上じゃない? 役所広司とか。

豊崎役所か。ちぇ。まあ、いいや。でもほんとに最初は「あーあ」と思いながら読み始めてたの。そしたらどんどん面白くなって。この人、ここに出てくる俳句を全部自分で考えてるんでしょう? “宵しづか守宮に小き手相あり”なんて、うまいこと言うねーと感服つかまつり候。

大森いやいや、この値段(2190円)の本で候補になる以上、当然クオリティは高いはず。僕は全く逆でしたね。この文春激戦区を実力だけで勝ち抜いたんだから、よっぽどすごいだろうと思ったら、ふつうによくできた小説だった。これ、万が一受賞したらものすごい利益率の高い本になりますよ。

豊崎何より三田さんがうれしいですよね、印税10%ですから。1200円の10%と2000円の10%、全く違いますもん。でも、受賞はない。

大森確かに「オール讀物」に載った最初の3話くらいは大変いい話なんですけど、書き下ろしの2本がちょっと弱い。だんだん飽きてくるし。

豊崎私、女子医学生のSもの、あれ笑った。ちょっとエロかったでしょ、同級生女子から来た(と勝手に勘違いした)ラブレターを読んだだけでコーフンして胸を揉みしだくとか。何なんでしょうか、この唐突なエロは。

大森そうやって最初の1、2話は新鮮に読めるんだけど、だんだん暮愁先生の方がクローズアップされて、中年ドリーム全開になってくると、ちょっとイヤ。そこを誉める年配の男性選考委員もいそうですが。

豊崎暮愁先生がかっこよすぎですよね。モテすぎ。私は句会のシーンが好きだな。気持ちのいい人たちばっかりでね、来てるのが。とにかく、予想より全然よかったですから、三田さんの今後のご活躍を期待したいと思います。がんばってください。今回は受賞ありませんけど。

大森昭和7年の部は埋まってますから(笑)。

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