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ROUND 5 直木賞選考会 後編

畠中恵『まんまこと』

畠中恵『まんまこと』(文藝春秋) 当落予想
◎=本命 ○=対抗 ▲=大穴
作品評価
A〜D
大森 豊崎 大森 豊崎
B B+

あらすじはコチラ

大森時代物つながりで、『まんまこと』いきましょう。

豊崎畠中さんには時代小説の読者を若い層に開拓したっていう功績があると思うんで、私は二作受賞ありと読んで◎をつけました。

大森日本ファンタジーノベル大賞を存続させている功労者でもある(笑)。森見さんは第15回の日本ファンタジーノベル大賞受賞者ですが(『太陽の塔』)、畠中さんは2年先輩で、第13回の優秀賞受賞者。受賞作『しゃばけ』が新潮社から出てシリーズ化、ちょうど第6弾の『ちんぷんかん』が出たばっかりですが、いまや合計で130万部とかの大ベストセラーになってます。ただ、このシリーズ以外の単発作品はあんまりよくない。現代ものの『百万の手』とか、ちょっといかがなものかっていう出来のもあったりして、『まんまこと』にはそんなに期待してなかったんですよ。ところが読んでみてびっくり。いつのまにこんなにうまくなったのかと。

豊崎そう、宮部みゆきかと思っちゃいましたよ。私は『しゃばけ』のシリーズよりこっちのほうが好きです。

大森『しゃばけ』シリーズの最初のほうとくらべると、こっちのほうが全然いい。超能力やお化けが出てこない、ただの時代物を畠中さんが書くのはは今回初めてなんですけど、ややライトノベルっぽい、キャラクター小説風なところは残しつつ、普通の時代ものとしても読める。書き方が、独白がカッコに入っているっていう、今風のスタイルになってるけど、宮部みゆき的な下町連作ミステリにもなってます。お白洲まではいかない町内の揉め事を調停する、家主さんの跡取り息子の麻之介が主人公で、最初の三話くらいは非常によく出来ている。特に、誰のものかわからない万年青の鉢が取り合いになって、それを裁くために本当の持ち主を探す「万年、青いやつ」は、“日常の謎”系の本格ミステリとしても冴えた解決になっていて、感心しました。

豊崎しかもそこに新しい恋の芽生えを予感させるツンデレなエピソードも忍ばせてあって、達者ですよね。

大森これだとまんべんなく票を集めそうですよね。

豊崎まんまことテレビドラマにすればいいと思う。

大森まさにドラマ向き。NHKの木曜時代劇ですぐやれる。ブッキーでしょ、麻之介は。

豊崎私もそう思った! 妻夫木君を思い浮かべながら読んでましたもん。

大森「憑神」のあとはこれ。若い男の三人組だからね、あとはいくらでも。

豊崎そうですよ。じゃあ清十郎っていうイケメンは誰? オダジョー? いいじゃんオダギリジョーで。うわー、萌え! そうすると吉五郎は、実直そうな……。

大森意外と宮迫(博之)とかがいいかもよ。

豊崎やだな、それ(笑)。まあ確かに、今やドラマにお笑い顔一つは必要ですけどね。もうとってもいいんじゃないですか? 時代小説界に貢献度高いし、この人。

大森まあね。『まんまこと』1作受賞でさえなければ。

豊崎すっごく意地悪な気持ちで読み始めたんですけど、ほんとにおどろきましたよ、面白くて。描写とか上手になりましたよね。

大森文春に初めて書いたら即、直木賞候補かよ!まったく悪役非道な振る舞いだな……と思ってたんですが、読んで納得と。

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